エステサロンを開業する為の、政策金融公庫(旧 国民金融公庫)の借入手順


エステサロンの開業は、他の業種と比べ初期投資・ランニングコストともに低く抑えられる部類に入ります。

とはいえ、全額は自己資金で賄えない・・・という場合は、融資を使用するのも方法の1つです。

ただ、融資と聞くと「借入先はどこにすればよいのか」「いくら借りればいいのか」「どうやって手続きをすればいいのかな」など疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

この記事で紹介する借入先は、日本政策金融公庫というもの。エステサロンを開業される方の多くが選択している借入先です。

日本政策金融公庫とはどういった組織なのか、どのような条件で融資をしてくれるのかなどの基礎知識から、借入手順まで紹介していきます。

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫とは、100%政府が出資する政策金融機関と言われる日本公庫です。

主に銀行などの一般の金融機関を補完し、国民の生活をより良くすることを目的としており、

サロン業界における資金調達先として最もポピュラーな選択肢のひとつでしょう。

国の貸金庫と言われると少し身構えてしまうかも知れませんが、国が貸してくれるだけあって、堅実で様々なプランを用意してくれています。

何より基本的にどのプランも低金利である上に、最も信頼度の高い資金調達先と言えるので、おすすめの選択肢です。

サロン開業に適した融資プラン

一般貸付

一般貸付の概要

【運転資金】
融資限度額 :4,800万円
ご返済期間 :5年以内
利率(年) :基準利益
担保・保証人:希望にそった相談可能

【設備資金】
融資限度額 :4,800万円
ご返済期間 :10年以内
利率(年) :基準利益
担保・保証人:希望にそった相談可能

【特定設備資金】
融資限度額 :7,200万円
ご返済期間 :20年以内
利率(年) :基準利益
担保・保証人:希望にそった相談可能

※基準利益:使い道、返済期間、または担保の有無によって異なる利率が適用

参考:一般貸付の概要


政策金融公庫はほとんどの業種を対象とした融資制度です。

経営者は一般貸付を利用することで、運転資金、設備資金を調達可能。

細かい利用条件はありませんが、一般融資が認められない業種もあります。

コンビニやカフェなどの一般的な店舗はもちろん、エステサロンも開業する場合は問題なく利用できます。

女性、若者/シニア起業家支援資金

女性、若者/シニア起業家支援資金の概要

■利用できる人
女性または35歳未満か55歳以上の方であって、新たに事業を始める方、または事業開始後概ね7年以内の方

■資金の使い道
新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする資金

融資限度額 :7,200万円(うち運転資金4,800万円)
利率(年) :特定の要件に該当しない方は特別利率A、
       土地取得資金は基準利率
ご返済期間 :設備融資は20年以内<うち据置期間2年以内>
       運転資金は 7年以内<うち据置期間2年以内>
担保・保証人:希望にそった相談可能

※特定の要件:地方創生推進交付金を活用した起業支援金の交付決定を受けて新たに事業を始める方など

参考:女性、若者/シニア起業家支援資金の概要


女性または35歳未満か55歳以上の方で新たに事業を始める、または始めてから概ね7年以内の方を対象とした融資の一つです。

利用条件は一般貸付と同じく細かい条件はありません。

もちろんエステサロンの開業時にも利用可能です。

このプランの融資限度額は7,200万円(うち運転資金は4,800万円)。

エステ施設の開業に伴い、揃える必要がある設備は高価な器具も少なくありません。

例えば、脱毛エステ器具は一台200万円以上の費用が必要になる場合が多いので、設備資金を含めてこの額の融資はとてもありがたいですね。


運転資金とは

運転資金とは、お店を開き続けていくためにかかるお金です。

一般的に開業したてのサロンが周知されるまでは利益を上げられる可能性は低いと言えます。

そのため、開業後半年分程度の運転資金はあらかじめ準備しておくが重要。

開業してすぐ資金繰りに困らないようにするために、家賃、光熱費、消耗品といった固定費をはじめ、

給料(スタッフがいる場合)、返済金(融資を受けている場合)、自分自身の生活費などを運転資金として用意しておくのがベストでしょう。


設備資金とは

建物や車、機械設備などの、長期にわたって利用するものにかかるお金です。

多くは事業を始めたり、拡大する際の初期投資として大きな金額が必要となります。

設備資金の融資は使い道が分かりやすい為、金融機関にとっては購入の有無や導入による効果もわかりやすいため借りやすいといわれています。

なお、設備投資の申し込みをする場合は見積書が必要となります。

開業の準備段階で業者に話を聞いた際、必ず用意してもらうようにしましょう。


自身で手続きを進める場合の手順

独立開業をし、融資を受ける際は、個人事業主である必要があります。

また個人事業主として独立開業を進めるうえで税務署に開業届の提出が必要です。

開業届は個人で事業を始めてから1ヶ月以内に税務署に持参するか、郵送する必要があります。

堅苦しく届け出を作成するのは難しい…というイメージを持たれている方もいるのではないでしょうか。

確かに、作成するにはわかり辛い部分も多く、手間もかかるので後回しにしてしまう業務ですが、

いまでは簡単に作成できるオンラインサービスもあるので有効活用していきましょう。

ここからは融資を受ける際の手順を説明していきます。

一般貸付の申し込み手順

まず、電話や窓口で担当者に問い合わせをしましょう。

一般貸付の内容や融資条件に納得できたら、借入申込書に必要な情報を記載して提出。

その後、担当者と面談し開業をする予定の事業について説明をします。

面談では、開業するあたり「具体的にどのようなサービスを提供するか」などの事業計画をプレゼンします。

問題ないと担当者が判断すれば審査が通過。

契約における必要書類を受け取って完了で、後ほど希望した銀行口座に融資金が振り込まれるといった流れです。

以下は詳しい手順の流れです。

①事業資金相談ダイヤル

融資制度の質問、申し込み手続きなどの問い合わせは電話対応のみとなります。

事業資金相談は0120-154-505、受付時間は平日9時から19時です。

②支店窓口に訪問

次に、近くの日本政策融資公庫に訪問しましょう。

訪問の際は創業計画書をあらかじめ記載しておくと具体的な相談ができて段取り良く進みます。

店舗案内はこちら

③必要書類の提出

公庫に借入申込書を提出するには、次のような書類が求められます。

  • 創業計画書
  • 企業概要書
  • 設備投資の申し込みをする場合は見積書
  • 法人の履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人営業の場合)

創業企画書、企業概要書は下記のページからダウンロード可能です。

書類作成時に分からないことがあれば、担当者に相談してみましょう。

創業企画書・企業概要書のダウンロード

④面談

融資の面談担当者と面談をします。融資の確定は面談の終了後に、担当者が公庫の上層部に資料を渡し、上層部が融資を許可すれば確定となります。

基本的に面談担当の方は、なるべく融資を通してあげたいといったスタンスなので、気張らずにいきましょう。

⑤融資決定

最後に、必要書類が郵送で送られてくるので、資料の記載終了後、返信用封筒に同封して送ってください。

その資料が公庫に到着してから3営業日後に公庫側から資金が振り込まれます。

ですが資料の記載内容に不備があると再提出となり、融資実行までの時間が延びてしまうので、

記載ミスや記入漏れが無いか、入念に確認してから送りましょう。


返済について

日本政策金融公庫での借り入れは、他の金融機関を活用する場合と比較して返済期間を長く設定することができます。

例えば一般貸付の場合、運転資金で5年、設備資金で10年。

具体的な返済計画については、WEBサイト上で返済シミュレーションを行うこともできるので、条件を踏まえて試算してみるとよいでしょう。

返済シミュレーションはこちら


まとめ

開業にあたり、やはり不安なのが資金面。融資と聞くと、どこから、いくらぐらい、どうやって借りればいいのか…と疑問に思う点が多々出てくると思います。

今回紹介した借入先はエステサロン開業でもっとも使用されるものです。

他の融資サポートも多くありますが、まずは日本政策金融公庫を検討してみましょう。