脱毛サロン開業に必要な資格、資金や抑えておきたいポイントについて


エステサロンの中でも、脱毛サロンは比較的少額で開業できる手軽さもあってか、経験者や異業種からの参入によるサロン開業が増えてきています。

サロンが成功すると平均年収が500万円〜数千万円にもなると言われており、収入面も人気の理由です。

さて開業するにあたって気になるのが、費用、資格、開業資金などの前準備についてでしょう。

開業前の準備によって、サロンが成功するか失敗するか決まると言っても良いほど重要な事です。

そこで今回は、エステサロンの開業前に準備しておきたい事を、陥りやすい失敗を含め紹介していきます。


サロン開業に必要な資格・許可

サロンを開業する上で、資格は特に必要ありません。個人事業主として『開業届』を開業準備から1ヶ月以内に税務署へ提出するだけです。


【開業届とは?】
新たな事業を開始した時に税務署に提出する義務のある書類です。この書類を届け出る事で、確定申告時に青色申告という決算書を選べます。

開業届の概要

開業届は管轄の税務署に提出しましょう。開業届の正式名称は『個人事業の開業・廃業等届出書』です。

書類は管轄の税務署でもらうか、国税庁のホームページからダウンロードする方法があります。

必要事項を記載し、事業開始から1ヶ月以内に税務署に持参、または郵送すれば完了となります。

手間がかからない分「いつでも良いや」と思ってしまいがちな書類ですが、早めに行動して開業準備1ヶ月以内に提出できる状況にしておきましょう。

「青色申告」がおすすめ

個人で事業を始めると、所得にかかる税金を支払うために「確定申告」が必要です。

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類の方法があり、青色申告で申告をした方が税金が安くなります。

青色申告で65万円の特別控除をうけるには、複数簿記で帳簿する必要があるため、ある程度の簿記の知識が必要です。

一方、白色申告は単式簿記で良いので、青色に比べ簡単に帳簿できます。しかし、節税効果が少ないというデメリットがあります。

青色申告のメリット

青色申告には大きなメリットが2つあります。

  • 最高65万円の税金控除
  • 赤字を3年間繰り越せる(赤字の場合は所得がないため課税もなし)

そのため、開業して間もない事業主にとっては嬉しい内容です。

青色申告を確定申告で行うためには、税務署に「青色申告承諾申請書」と「開業届」の提出が必要となります。

したがって、初めて独立開業する際はこの2つの書類はセットと考え、同時に提出すれば手間が省けます。

いずれも申請にかかる費用は無料です。


脱毛サロン開業に必要な費用

何事もまずは先立つものが必要で、必要な費用は大きく分けると開業資金と運営資金の2つ。

開業資金は機器の準備も必要なので少し高額になりますが、日本公庫である「政策金融公庫」からの借り入れなど、安心できる資金調達方法も。

それぞれ解説していきます。

開業資金

開業資金とは、お店をスタートする時点で必要な機器や広告などにかかるお金のことです。

マシン代:約200万~

エステ関連機器の中でも脱毛機器は高額の部類なので、マシン代だけでまず200万円ほどかかることを想定しなければなりません。

脱毛機器を購入してスタートする場合は、マシン代を含め最低300万円ほどの開業資金が必要となります。

内装・設備費:約20万~

施術用のベッド、受付カウンター、待ち合い室の長椅子、カウンセリング室などで使用する机や椅子がまず挙げられます。

また、自宅で開業する場合も、顧客層にあった壁紙、カーテン、絨毯や照明など

ある程度のインテリアを揃えることで、安心感や信頼度を高めることができます。

さらにサービスの行き届いたサロンとして顧客満足度を高めたいのであれば、

メイク直し用の化粧台や洗面台なども用意するとベストです。

消耗品代:約10万円~

施術で必要なペーパーショーツやコットンなどです。

肌を保護、または光照射効果を向上させる目的のジェルも大量に消費するので

準備する上で視野に入れておくべきと言えます。

広告宣伝費:約30万円~

そもそも開業をしたところで、宣伝しなければサロンの存在を認知してもらえません。

特にオープン告知はお客様を呼び込む絶好のチャンスですので、

DM、チラシ、フリーペーパーの広告掲載などの宣伝費用は欠かせない支度金にあたります。

その他

賃貸マンションなどを借りて開業する場合は不動産契約料が加わります。

運転資金

運転資金とは、お店を開き続けていくためにかかる資金です。

サロンが周知されるまでは利益を上げられる可能性は低いため、開業後半年分程度の運転資金はあらかじめ準備しておきましょう。

開業してすぐ資金繰りに困らないようにするために、

  • 家賃
  • 光熱費
  • 消耗品など

これらの固定費をはじめ、

  • 給料(スタッフがいる場合)
  • 返済金(融資を受けている場合)
  • 自分自身の生活費

などを見越して用意しておくのがベストです。

できるだけしっかり確保しておきましょう。

リースやレンタル契約もあり

開業コストを抑える手段として、『脱毛機器をリース・レンタルで導入する』という方法もあります。

リースの場合は3〜7年かけて支払うのが一般的です。

リースよりも割高なレンタルは、スポット的に使用する機器に用いるのがおすすめです。

借り入れなら「日本政策金融公庫」がおすすめ!

日本政策金融公庫とは、100%政府が出資する政策金融機関と言われる日本公庫。

サロン業界における資金調達先として最もポピュラーな選択肢と言えます。

基本的にどのプランも低金利である上に、最も信頼度の高い資金調達先と言えるので、借り入れを必要とする場合は最優先で検討しましょう。

具体的な借り入れ手順については、当記事の最後に記載しているリンク先の記事で紹介しています。


独立後に失敗しやすい落とし穴

集客の失敗

立地の良し悪し

どんなにスタッフの腕が良くても、脱毛エステに興味の無い顧客層の多い土地柄、または顧客がアクセスしづらい場所での開業はマーケティング的視点から失敗しています。

お店を開くと決めた時点でどんな土地でお店を始めるか、その土地にはどんな年代の人や興味傾向のある人が多く暮らしているのか調査が必要です。

ただ、オープンしてから立地の悪さに気付くこともあります。

そういった場合は広告宣伝などにも大きく資金や意識を割くことが必要となるため、立地状況はしっかり確認しておきましょう。

スタッフのスキル

サロンのコンセプトやターゲットも明確で、立地の問題も思い当たらない場合、

スタッフのスキルが未熟、または施術・サービス内容が良くない事が考えられます。

また、そういった評判は広まりやすいものです。

いくら立地が良くても、口コミなどで判断された時点で来店される機会は途絶えます。

だからこそ、スタッフのスキルや接客態度はきちんと教育しておきましょう。



以上2点が集客の失敗に繋がる大きな理由です。

どんな事業でも、新規の顧客が増えない、またはリピーターが付かない状態に陥って集客難になることは珍しくありません。

結果として経営が安定することなく1〜3年ほどで廃業へ追い込まれるサロンも多いと言われています。

そのため、集客を成功させるためにも店を開いたら終わりではなく、常に広告宣伝や経営努力を重ねて行くのも大切です。

軌道に乗るまで時間がかかる

平均年収500万円〜数千万円の高収入が期待できるサロン経営ですが、開業すぐの収入はとても不安定です。

サロンの開業に必要なのはスタッフの施術スキルだけではなく、立地やコンセプト、ターゲティングなど、営業・経営センスも問われます。

自営となると収入は完全出来高制、開業資金を借り入れる場合などは「返済するだけの稼ぎがない」という事態に陥る可能性もあります。

とはいえ集客において「これが正解」というものはなく、時として試行錯誤をしても成果が現れないことも珍しくありません。

そのため、経営が軌道に乗るまでは赤字の覚悟も必要なのです。


独立後の安定した経営を行うために

独立後に安定した経営を行うため、経営者としてやっておきたい6つのことを紹介します。

その1:お店のコンセプトを固める

エステサロンを立ち上げる第一ステップは『コンセプトメイク』です。

  • お店の内装
  • 施術メニューの方向性
  • 具体的なクライアント像の想定

上記3つが経営成功のための重要な鍵と言われています。

性別や年齢、年収、抱いている悩みなど、サービスを提供する顧客層を明確にします。

それを元に実際の施術内容、価格帯、内装などを導き出します。

コンセプトメイクは徹底的に練り上げることが重要です。

お店がどんな立地であろうと「自分のためのサロン」とお客様に思わせることができればリピーター獲得にも繋がるからです。

ターゲットの目線に立ったサロンづくりを心がけましょう。

その2:異業種交流会に参加し、業種の近い人に出会う

エステサロンを成功させるには、エステティシャンとしての経験だけでは不十分です。

また別の能力、経営者として立ち回る能力が求められます。

能力とは言いますが、要は1から集客するにはどうすれば良いのかという知識です。

その知識を会得するために自力で勉強したり、セミナーへ通ったりして方法を模索することは大切です。

また、できるだけ早く集客に結びつけたい時は『異業種交流会』を活用するのが有効です。

『異業種交流会』の目的は人脈作りに基づく顧客の共有・紹介。

具体的にはマッサージ師や整体師、医師、心理カウンセラー、リフレクソロジストなど、

脱毛エステティシャン同様にセラピストをしている人物へ積極的に声をかけましょう。

利用者層が重なるからこそ、顧客の紹介、リピートの連鎖を狙うことができます。

その際、知り合った異業種のセラピストの方と「お互いの施術を体験」しあってみるのも一つの手段です。

スキルに納得の上で、お客様を紹介してもらえる関係に繋がるかもしれません。

続けて「紹介なら○%OFF」、「友人を紹介したら、次回は○%OFF」などのサービスを設ける手段もより効果的と言えます。

最終的に自分のサロンへ来たお客様にも、必要に応じて異業種交流会で知り合ったセラピストを紹介していけば、

横の繋がりも確かなものにしていけるので理想的です。

その3:お客様の個人情報を詳細に記録できるようにしておく

予約が常に埋まった状態を保つためには、新規客の獲得に躍起になるよりも、リピーターを増やして置く方が賢明です。

お客様の個人情報をまとめたリストを作成するためには

  • 名前
  • 電話番号
  • メールアドレス
  • アレルギーの有無
  • 肌に関する悩み
  • 現在使っている化粧品

などの項目を並べると良いでしょう。

来店時、このリストをお客様自らに記入して貰えば、施術内容やコミュニケーションに役立てることもできます。

施術中に聞き出した情報(香りの好みやお客様自身の好きなものなど)も、

お客様がお帰りになられた後にリストへ追記し次回来店時に活かせれば、お店への信頼度も上がり、お客様に気に入ってもらえるお店となるはずです。

その4:週間・月間・年間の売上パターンを記録できるようにしておく

自サロンの売上額は継続して記録・データ化しておきましょう。

週間、月間、年間と、ある程度まとまったデータを見れば売上パターンが見えてきます。

「この曜日は予約が入りづらい」、「この月は毎年売上が落ちる傾向にある」などが予め分かっていれば、ピンポイントで対策を講じることも可能です。

その5:ホームページの集客

若年層をターゲットとする場合は特に、インターネットでの訴求に力を入れましょう。

一般的にネット広告は10万円程度の予算がかかると言われていまが、ホームページの作成だけであれば無料で作成できるサービスもあります。

個性を出しつつ、コンセプトに合ったサイト・ブログを作成しましょう。

また、若年層をターゲットにしたい場合は、Twitter・Instagram・FacebookなどのSNSも集客ツールとして活用するのも有効です。

その6:リピーターの獲得に力を入れる

リピーターはエステサロンの安定した経営を担う重要な存在です。

しかし「次回の予約をせずに帰ってしまう」、「他店に流れてしまう」ことは珍しくありません。

代表的なリピーター獲得方法としてクーポンなどの特典があります。

ですが割引を多用しすぎると獲得コストがかからないリピーターならではのメリットが損なわれます。

つまり、新規顧客の獲得と同等のコストがかかる恐れがあるのです。

そのため、サロンに繰り返し訪れて貰うためには、ポイントカード、ダイレクトメール、手書きの葉書などを活用すると良いと言われています。

ここでお客様の情報リストが役立ちます。

一人ひとりに合ったメッセージを入れることで、訴求が響きリピートに繋がる可能性が高まります。

誕生日にはクーポンのプレゼントとともにお祝いレターを送付する方法もあります。

リピーターは大切にすればするほどサロンの将来性に直結します。

長く愛されるサロン運営を目指したいのであれば、それに応じた心尽くしの姿勢が必要です。


まとめ

世間的な需要も高まりつつある脱毛エステサロンを開業する上で、最終的に大事なのは開業資金、運転資金、開業届を除けば『経営努力』この四文字です。

立地状況や集客状況、経営状況の確認、スタッフの管理、顧客の確保全てがこの『経営努力』に集約されると言っても過言ではありません。

この努力を怠らない限り、理想のサロンとして花開くはずです。まずは開業に向けて資金準備や土地の検討など、できることから始めて行きましょう。


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